中小企業にとって “ヒト・モノ・カネ” をどう確保するかは永遠のテーマです。とくに人材確保と定着、そして生産性向上は喫緊の経営課題。そこで活用したいのが、厚生労働省の2大助成金――
■ 業務改善助成金(以下:業務改善)
■ 働き方改革推進支援助成金(以下:働き方改革)
両制度の目的や支給要件は似ているようで大きく異なります。本記事では5つの切り口で比較し、制度選択の判断フローと申請時の実務ポイントを解説します。
1.制度概要──まずは目的を押さえる
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業務改善助成金 |
働き方改革推進支援助成金 |
目的 |
設備投資・業務プロセス改善による生産性向上+最低賃金引上げ |
長時間労働の是正・休暇取得・テレワーク整備など働き方改革全般 |
対象費用 |
機械・ITツール購入、外部コンサル、システム導入など |
労働時間管理ツール、勤怠クラウド、テレワーク機器など |
必須要件 |
賃金を30円以上※引き上げる計画策定 |
成果目標(労働時間◯%削減、有休取得◯日など)を設定 |
補助上限 |
賃上幅・従業員数により60~600万円 |
取組内容により最大250万円 |
※令和7年度(2025年度)基準。毎年度変更があるため最新公表を必ず確認してください。
2.メリット・デメリットを比べる
◆ 業務改善助成金
-メリット:賃上げを“設備投資”で賄える/最低賃金+αで採用力アップ
-注意点:賃上げ後6か月維持が必須/交付決定前の設備納品は不支給
◆ 働き方改革推進支援助成金
-メリット:テレワークや勤務間インターバル導入に柔軟活用/離職率低減
-注意点:目標設定が複数で書類が煩雑/支給決定まで長期化しやすい
3.成功事例と留意ポイント
事例①:製造業(従業員35名)
自動梱包機へ投資450万円 → 時給+60円でも人件費比率+1.2%に抑制/出荷工程25%短縮
事例②:ITベンチャー(従業員60名)
勤怠クラウド+フレックスタイム導入 → 月60時間超残業ゼロ/離職率12%→5%
★申請の鉄則:交付決定前に着手した費用は対象外。スケジュール管理と証憑保存が必須です。
4.まとめ──“自社課題”と“助成金目的”をブレずに合わせる
■賃上げ+生産性向上→ 業務改善助成金
■長時間労働是正・テレワーク整備→ 働き方改革推進支援助成金
※両制度は対象経費を分ければ併給も可能。まずは課題を洗い出し、最適な制度を選択しましょう。
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