【2025年版・5分でわかる】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方|初心者がやりがちな3つの落とし穴
最終更新日: 2025-10-19
お急ぎの方へ:
まずは下の「この記事のポイント」と「提出前チェックリスト」だけでOK。
5分で2025年の年末調整重要箇所を確認できます。
年末調整の定番「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、マル扶)。
本記事は、判断基準日(12月31日)、扶養の考え方(生計を一にする)、収入と所得の違いを中心に、迷わず記入できるよう実務目線で整理しました。提出前に便利な早見表・チェックリスト・FAQ付き。
監修: 社会保険労務士法人 総合経営サービス肥後労務管理事務所
この記事のポイント(要約)
- 基準日は2025年12月31日:記入内容は年末時点の事実で判定。
- 扶養=生計を一にする親族:同居/別居より、生活実態(仕送り等)が鍵。
- 記入は“収入”ではなく“所得”:給与は給与所得控除後の金額で見積。
- 特別欄の記入漏れに注意:障害者・ひとり親・寡婦等は控除額に直結。
- 来年分のマル扶も提出:2026年1月からの源泉税額(毎月天引き)を適正化。
目次
- マル扶とは?提出する目的
- 判断の大原則(12月31日基準・居所・生計一)
- 書き方の流れ(ブロック別)
- 扶養可否と所得の早見表
- 初心者がやりがちな3つの落とし穴
- 提出前チェックリスト
- 来年分も提出する理由
- 動画で具体的に確認
- よくある質問(FAQ)
1. マル扶とは?提出する目的
マル扶は、①本人・扶養親族の情報を会社へ届ける、②毎月の源泉所得税(天引き額)を決めるための書類です。年末調整に使われますが、本来は毎月の源泉計算の基礎となる点が重要です。
2. 判断の大原則(12月31日基準・居所・生計一)
- 12月31日基準で判定:途中の変動では判断しません。
- 居所を記入:単身赴任・下宿・施設入所などは実際に住む場所を記入。
- 生計を一にする:同居の有無よりも、仕送り等の実態があるかで扶養可否を判断。
3. 書き方の流れ(ブロック別)
3-1. 本人情報
氏名・生年月日・世帯主・配偶者有無など。基準日は12月31日です。
3-2. 配偶者欄(源泉控除対象配偶者の判定)
- 配偶者は所得の見積額で記入(給与は給与所得控除後)。
- 例:年収140万円なら、額面ではなく控除後の所得を算出して記入。
3-3. 16歳以上の扶養親族
- 一般扶養(原則16歳以上)
- 特定扶養親族(18歳以上23歳未満の学生等)
- 老人扶養親族(70歳以上)※同居老親等の区分に注意
いずれも12月31日時点の年齢で判定。給与は控除後の所得で、年金は雑所得(公的年金等控除後)で記入します。
3-4. 特別欄(障害者・ひとり親・寡婦等)
本人・配偶者・扶養親族が該当する場合は必ず申告。同居特別障害者など区分次第で控除額が変わるため要確認。
3-5. 16歳未満の扶養親族・退職所得欄
16歳未満は所得税の扶養控除対象外ですが、住民税の算定で必要。退職所得の有無も住民税で必要になるため、該当時は記入します。
4. 扶養可否と所得の早見表
ケース | 扶養の考え方 | 記入の勘所 |
---|---|---|
大学生が一人暮らし(仕送りあり) | 生計一として扶養可 | 居所は下宿先。アルバイトは所得で記入。 |
配偶者がパート勤務 | 生計が独立していなければ可 | 額面ではなく給与所得控除後で見積。 |
70歳以上の親と同居 | 老人扶養(同居老親等) | 年金は雑所得。公的年金等控除後で記入。 |
16歳未満の子 | 所得税の扶養控除対象外 | 住民税で必要。未記入にしない。 |
5. 初心者がやりがちな3つの落とし穴
- 基準日の取り違え:12月31日で判定。途中の増減で判断しない。
- 収入と所得の混同:給与は給与所得控除後、年金は公的年金等控除後で記入。
- 特別欄の失念:障害者・ひとり親・寡婦等の記載漏れは控除を取り逃します。
6. 提出前チェックリスト
- [ ] 12月31日時点の事実で記入した。
- [ ] 扶養判定は生計一の実態で確認した。
- [ ] 所得で記入(給与=控除後/年金=公的年金等控除後)。
- [ ] 特別欄(障害者・ひとり親・寡婦等)を確認した。
- [ ] 16歳未満・退職所得欄を漏れなく記入した。
7. 来年分も提出する理由
会社からは今年分と来年分のマル扶が配布されることが多く、来年分は翌年1月以降の源泉税額を適正化するために必要です。配偶者の育休や子の年齢区分変更(特定扶養へ)など、翌年の変化は来年分に反映し、年末の清算差額を抑えます。
8. 動画で具体的に確認
記事は要点を短時間で把握するためのものです。
実際の記入位置や迷いやすい分岐は下の動画で書類に沿って確認できますので、是非、御覧ください!
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 年の途中で家族構成が変わりました。どちらで判断しますか。
A. 12月31日時点の状況で判断します。
Q2. 年収で書いてしまいました。訂正は必要ですか。
A. 給与は給与所得控除後の所得で記入します。年収で記入した場合は訂正するか書類を差し替えてください。
Q3. 別居の親を扶養にできますか。
A. 仕送り等があり生計を一にする実態があれば可能性があります。生活実態を確認してください。
Q4. 16歳未満の子は書かなくてよいですか。
A. 住民税の算定で必要です。所得税の扶養控除対象外でも必ず記入してください。
Q5. 来年分はいつ、何のために提出しますか。
A. 年末の配布時に合わせて提出するのが一般的です。翌年1月以降の毎月の源泉税額を適正化するためです。
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